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雪乃・舞依と志乃神・晃の設定などを徒然と、いや適当に・・・。SSとかバトンとかで ============================================================  このブログにおいてある作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、作成を依頼したものです。  イラストの使用権は雪乃に、著作権は書いていただいたイラストマスターに、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。 ============================================================
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風月華自室(雪花の間)にて。
スライムに埋もれながら見る夢は―――

山奥の施設内に隔離されていた時のキオク。施設とは名ばかりの私を隔離する為だけの箱庭。
同じ時ばかりが過ぎる日々の中、ただ在り続けた。
「人形であれ。傀儡であれ。自己の意思を捨てろ。」
ソレだけが静か過ぎる孤独の中で学んだ事だった。
その部屋にはふかふかのベッドやいろんな玩具があったし人形もあった、特に不自由なく暮らしていたけど・・・外を見ることだけは赦されなかった。
友達も嫌な人も親も兄弟も・・・・・皆等しく私のセカイには居なかった。
私の相手をしてくれたのは・・・部屋の玩具だけだった。

■幸せな夢
そんな中、ある年から一年に一度お母さんだけは面会に来てくれた。それが・・・・・私には嬉しくて、お母さんと沢山話をするためだけに、必要の無いと思っていた文字や言葉を覚えた。面会の時ですら私は部屋を出してもらえず、ドアの中と外から会話を交わすだけだったけど、その一時は私にとって、とても幸せなものだった。
一時間にも満たない会話の中で、私はお母さんから外の事を聞いてねだった。
「空から落ちる水」や「自然に流れる水」、「春の桜」、「夏の海」、「秋の紅葉」、「冬の雪」。
外の事を知れば知るほど、私は外への憧れを強くしていった。

「でね、猫はメェ~って鳴くの。子猫の寝顔は本当に可愛くて・・・・」
「おか~さん?」
「どうかしたの?」
「・・・・・・・なんでもない♪」
「なら良いんだけど…あ、何処まで話したかしら?」
「子猫の寝顔が可愛いってとこまで・・・」
「そうそう、あの無垢な寝顔が取ってもキュートで抱きしめたくなるのよ」
「・・・・・・」
「でもでも、犬も捨てがたいわね。おりこうだし番犬にもなるし凄く従順だしね、うんうん」
「おか~さん」
「ん、犬にも興味出てきた?」
「大好きだよ・・・」
「あー!おかーさんの話ちゃんと聞いてた~?聞かないんならもう来てあげないよー?」
「ちゃ、ちゃんと聞いてるもん!聞かない訳無いもーん!!」
「あはははは♪冗談よ冗談、私も大好き。だって愛娘だもの・・・顔が見れないのは残念だけどね?」
「むー・・・・・」
「顔が見えなくても話は出来るでしょ?来年もぜったい来てあげるからそれまでちゃんと良い子にしてなさいね」
「・・・・・約束・・・・・嘘ついたら針一万本飲ますから・・・」
「はいはい、約束ね。嘘付いたら、本当に一万本でも一億本でも飲んであげるわ」

とても楽しくて、本当に楽しくて、私が人形じゃないって気がする・・・・・・そんな時間だった。
でも私はこの時既に、知らなかったとは言え最大の過ちを犯していた。
もしも私がここで、私が隔離されている理由を聞いていれば、この後の惨劇は避けられたのかもしれない。

■私の罪、貴方の罪
四度目の面会の日。お母さんは、来なかった。「少し遅れているだけだ」と夜まで寝ないで待った。「急にこられない用事でも出来たのかもしれない」と三日間起き続けて待った。「この部屋のカレンダーが一週間ずれているんだ」と泣きながら一週間待った。それでもお母さんは会いに来てくれなかった。
「約束・・・・・・・したのに・・・・・・・・。絶対・・・来るって行ったのに・・・」
それから何も食べずに私はただお母さんを待った。日に日に衰弱していくのは分かりきっていた事だったが、それでも一刻も早く話したい、会いたいと待ち続けた。
「・・・・・・・・・・・」
更に幾日か経過した後、唐突にドアが破られた。コレまで一度も開いた事の無いドアが―――
「逃げるわよッ!」
「・・・・・・・・え?おかーさん?」
はじめて見た人の顔は・・・・・赤く血塗られた母の顔だった。
声を聞かなければまず分からない程に鬼気迫る顔をした母は、すぐに私を抱きあげると箱庭から飛び出していった。
長い間望んでいた外の景色は、とても新鮮で、綺麗で、でも凄く怖かった。
「ゴーストが出たのよ、不意を衝かれて村の能力者達は全滅したわ・・・・・・・次は多分貴方を狙ってくる!」
「おか~さん、ゴーストって?ソレにこの怪我は!?」
「ゴーストって言うのは・・・・・・・私達に牙をむく危険なモノよ・・・・」
山の麓の森に入った所で降ろしてもらい、私とお母さんは走って逃げた。隣の村の能力者の力を借りる為に。
背後から迫ってくる木々がなぎ倒される音、すぐ近くに何かが居る事だけはよくわかった。
ココから私の意識は混濁していて上手く思い出せなくなる。ただ、覚えているのは・・・

私の後ろに迫ったゴーストの爪を・・・お母さんが・・・・・・カラダデウケトメテイタ事。
オカアサンの悲鳴のような叫び。
『逃げて!早く!走って!!!』
1.決して振り返ってはならない。
2.決して立ち止まってはいけない。
3.希望は、捨てなさい。
オカアサンの断末魔。いや、違う、お母さんはだって、サッキまで私のトナリデ走って・・・・?
走りなさい。逃げなさい。
私が喰われている、今のうちに。

けど私は振り返ってしまった。そして見た。見てしまった。
オカアサンがバラバラになる姿を。

「お母さん・・・・・・?おかあさん、お母さんッ!?」
化け物の手が赤く、アレは血―――?ダレの。いや分かってる。理解したくない。
あの足元にある赤いモノが  『
お 母 さ ん』  だなんて。
「ッッ!!  ァァァァァ―――――――ッッ!!」
私は
其処で壊れた。


最悪のの目醒め
「・・・・・・・・寒い・・・」
あまりの寒さに眼が覚める。いつもの天井とは違う青い天井・・・何かよく分からない音と、異常な冷気。
「・・・・・・ココ何処・・・ッッ!!?」
起き上がる瞬間に身体に激痛が走る。痛みと共にフラッシュバックする惨状。
「あ!お母さん・・・?お母さん!!何処・・・・・・何処に居るの!!」
既に絶望的であることは理解していた。でもソレを否定してでも私はお母さんを探した。
先に血塗れの氷柱の中に居た化け物が見付かった。
かじかむ指の求めるモノが見付からなくて・・・・すべてが赤に染まった大地の上で・・・私はもう一度意識を手放した。・・・・・・図らずもオカアサンの血だまりの中に。


■現在への白の目醒め
唐突に目を覚ます。冷や汗が吹き出てきて気持ち悪いくらいのパジャマ、冷たい頬の感触、心臓の動機・・・
「・・・・・・・・・またあの夢・・・見てたんだ・・・」
近くに居たスライムが起きたのを察してか擦り寄ってくる。
「大丈夫。・・・今は外の事も知ったし、友達も出来た・・・・・・”おか~さん”も居るし・・・・・・大丈夫、大丈夫、大丈夫・・・もうあんな思いすることなんて無い」
スライムをグニグニ撫でながら深呼吸する。
「それに・・・おか~さんは・・・ココに居るしね?(白いスライムを撫でる」
おか~さんの髪を食べさせた白いスライム。特別な一匹の友達。
「さ、今のおか~さんの所に行こ。男の人だからホントはおと~さんだけど・・・・・私の家族はやっぱり、おかあさんだよ・・・(俯いて黒いスライムの上に座る)・・・・さ、多分今の時間なら食堂に居る筈だからいこー!」

大丈夫、これからはもうあんな悲しい事は起きないから。
ここの皆は、新しい家族だから。もう寂しくない。


あ、でも友達でも恋人出来たら構ってくれる時間減るんだろ~なぁ~・・・・・・・
 

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プロフィール
HN:
雪乃・舞依
年齢:
29
性別:
女性
誕生日:
1994/09/22
職業:
中学生雪女
趣味:
読書、スライム弄り、他人と(で?)遊ぶ
自己紹介:
外の事をあまり知らなかった為に人と上手くかみ合う会話が数人にしか出来ない。喋りも沈黙の多いまったりペースだが人を弄る時だけは素が出て一方的に捲くし立てて相手を貶める。
いたずらっ子だが時々常識外れの大ぽかをする。
動物の鳴き声で幾つかウソを教えられている。
(例:猫はメェ~って鳴くんだよっ!?)
スライムマスター(幻獣使い?)
最近は割とほわほわと彼氏に甘えている。
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