在るかもしれない話 side:S・A（１）

ソレは幸せな夢。
誰でも願う平凡な幸せ。
適う訳が無い平穏な暮らし。
もう壊れてしまった過去の暮らし。
だからこそ強く強く望む、無垢な願い。

支離滅裂であろうと、在り得ない事であろうと、因果が捻れていようと。
夢に見ることだけはできる。

朝、もう何も言うまでも無く朝、これが朝って言わなければどれが朝だって位に朝だ。
「・・・いつの間に寝たんだっけ・・・っつかココ何処だ・・・？」
まだどろりとした眠気の中で身体を起こし、部屋の様子を確認する。
あからさまにファンシーに過ぎる部屋。

クマ、カエル、恐竜・・・その他色々なデカイ人形ども、
全体的にピンク色なカーテン、
どう考えても俺の趣味じゃないハートまみれの勉強机。

・・・結論、オレの部屋じゃ無い。

「んー・・・屋敷にこんなとこ在ったっけな・・・？」
とりあえず寝巻き代わりの作業衣からラフな格好に着替え、カーテンを全開にする
「っまぶしいな・・・」
「ぅーぁー・・・まーぶーいー・・・・ねーれーなーいー・・・しーめーてー・・・・」
「ッ！！？誰だ！？」
「ねぼけてないでしーーめーーて～～～・・・・・（ぐったり」
「っつか服着ろこのガキッ！？」
「ぇー、いつものことじゃーん・・・・・・それにしーちゃんも良いって言ったし～～」
「しーちゃん違う！ぁーーーーーー、何でお前がいんだよ、桜耶！！！」
「ここ私の部屋じゃーん・・・寝ぼけてる～？」
裸のまま毛布をごろごろと抱きしめる女に向かってハリセンを叩き込む
「ったぁ～ぃ～・・・・」
「叶、お前実は叶だろ！？そうに違いない、って言うかそうであれ！」
肩を掴んで揺さぶりながら問い詰める。居るはずの無い人間が居る事への驚愕を押し隠しつつ。
嬉しさを信じないようにしつつ。
「かのちゃん昨日から彼女んち行ってるよ～・・・？・・・頭だいじょぶ？」
「ぁーとは・・・ぇぇい、変装を解け偽者がッ！？」
「きゃー、ケダモノ～～・・・ぐぅ」
「Σ寝んな！？」
ガクガクと更に揺さぶりながら起こそうとした、その時・・・
「明ーーーッ！」
ドアを蹴破らんと言う勢いで第三者乱入―――久遠が現れた。
「・・・不純異性交遊禁止ーー！」
「してネーヨ！？」
「裸の女の子抱いて・・・・？」
「ぐぅ・・・すぴー」
「意識が無いところを？」
「待て、久遠！？これは孔明のわｎ（グシャ」
「問答無用ー！」
手に握られた榊、その打撲を受け、開けた窓から地上に落ちる俺・・・ってかココ何階・・・でびぶぇらぁあぁ！？
ごしゃぁッ！
あ、一階・・・みたいだな・・・（がくり
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よく分からないうちに、よく分からないことになって、よく分からないままに、事態は進行する。